意外と賢さ-1 (ページ2/11)
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ここらで時間潰して行くか。
ったく、だっりぃ。

重なり合う葉が生み出す影の下、名無子は特攻服のポケットから無造作に煙草とマッチを取りだした。
やけに軽い煙草のパッックをのぞいてみれば、煙草はもう一本しか残っていない。
チッと舌打ちしつつ、それを口にくわえ、パッケージのほうはグシャリと握りつぶして躊躇なく後方へ投げ捨てた。
シュッとマッチを擦って火をつける。
もわりとオレンジ色の火を宿したマッチの先端で煙草に点火、使い終わったマッチは足元に落として、靴底でふんづけ、消火する。
ぷはーっと気持ちよく一服。
そのまま、しゃがみ込もうと膝を折ったとき、足におかしな圧迫を感じた。
あぁん? と左目をすがめ、中腰で視線を落とす。
と、その先に、小さな生き物が見えた。
自分の右足に、――子供が抱きついていた。

「ひッ……?!」

まん丸に見開いた名無子の目に、どう考えても1〜2歳としか思われないようなチビッ子男児の頭部が飛び込んでくる。
おぼつかない両足で懸命に踏ん張り、立っているその子の小さな手に、ズボンの布ごとギュッと足を抱きしめられ、名無子のくわえていた煙草がポロリと地面に落ちた。

な、なな、なんだ、このガキッ?!



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