Happy 10 minutes (ページ2/5)
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白の剣道着に黒袴、すでに面手ぬぐいははずし、肩には長い黒髪がかかる。
そう、それは私の彼、ネジの凛々しい姿――。

「ネジ、お疲れ様!」

道場に向かって一礼を終えたネジに私は今までの寒さも忘れ、スポーツタオルを元気よく差し出した。
道場の扉を閉めながら、ネジは私に視線を向けて、かすかに微笑んだ。

「あぁ、名無子、ありがとう」

この瞬間が、本当に幸せ。
ネジが私の手からタオルを受け取り、軽く顔の汗を拭いた。
その姿をぽわ〜っと幸せボケした顔で見つめていると、ネジがスッと私を見つめる。

「悪いな、毎朝、待っていてもらって」
「ううん、全然」

私は大きくかぶりを振った。

だって、こんな幸せな思いできてるし!

8時半に始まる憂鬱なホームルームの前に、毎朝ネジの微笑みを受け取れるのだ。
その幸せに比べたら、こんな待ち時間、全然たいしたことじゃない。
私はニコニコと、ネジの使い終わったタオルをもらい受ける。
と、そのとき、フッとネジの手に私の手が触れてしまった。
ネジの手は稽古上がりでずいぶん温かく、それに比べて私の手はひんやりと冷え切っている。
一瞬のタッチでもそのことは充分知れるほどにふたりの温度差は明らかで、当然、ネジも気づかないわけはなかった。



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