our pleasure (ページ4/7)
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「うふふ、命中!」
「命中、って、ひどいな」

苦笑気味の僕も仕返しとばかりに雪を丸めて投げ返す。
そこからはふたりで雪合戦だ。
次々襲う雪玉をよけては投げ、投げては当たりしながら、僕たちは時に大声をあげてはしゃぎ、ふたり意味もなく雪野原を走り回った。
そのうちに僕たちにもだんだん疲れが見えてくる。
どちらともなく、雪玉の戦いを終え、ポカポカに温まった体を足跡のないキレイな雪の上にダイブさせた。
ポスッと雪に沈む背中。
頬に触れる雪がひんやりとして心地いい。
隣で僕と同じように雪の上に横たわる名無子が満足そうな声を出した。

「ふわ〜気持ちいいーー!!」

横を向くと、ちょうど名無子もこちらに視線を寄こしたところだった。

「ありがとう、サイ。雪の日を満喫できて、すっごく楽しかった! でも、寝てるとこ起こしちゃったから……それはごめんね」

外気と体の温度差にほっぺたを真っ赤にした名無子が、すまなそうにまつげを伏せる。
その表情に、なんだか僕は急に彼女のリンゴみたいなほっぺに触れたいだなんて思った。

「いや、いいよ。僕も楽しかったし」

言いながら、僕は彼女に手を伸ばす。
火照った指先が上気した頬に触れて、それがちょっとくすぐったかったのか、一瞬、名無子が首をすくめた。
そのまま僕はキスをしようと顔を近づけて、でも――。



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