our pleasure (ページ2/7)
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「そうなの!」

隣で名無子が外気の寒さに真っ赤になったほっぺをニッコリさせて元気に続ける。

「昨日の夜、降りだした雪がこんなに積もったんだよ」

彼女の弾むような話し声。
いつもより口調が早いのは彼女が喜んでいるせいなんだろう。

「朝起きて、この景色見た途端、キレイすぎて家を飛び出してきちゃった。だってサイにも見せたかったから」

僕にも見せたかったから、か。

思わず頬がゆるんだ。
名無子はいいことがあると真っ先に僕の所へやってくる。
それはまるでそうすることで自分の喜びが増えるとでもいうような、僕が一緒にいることでその嬉しさが二倍に膨らむとでもいうような、そんな感じだ。
僕にはちょっとわかりかねる感覚ではあるけれど、でもこんなふうに楽しそうな名無子を見るのは決して嫌いじゃない。
むしろ、いいとさえ思えることだ。
僕は名無子からもう一度、戸外の風景に視線を移す。
冬の穏やかな陽光に照らされて、地面を覆う白雪がきらりきらりと乱反射を見せた。
その輝きは名無子の弾む気持ちに似ている気がする。
僕は迷わず名無子に告げた。

「ちょっと待ってて。すぐに支度するよ」





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