続きの仕方 (ページ5/11)
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俺は自分の椅子を持って立ち上がり、名無子の後ろにそれを置いて座った。
そこから手を伸ばし、名無子の手に自分の手を添える。
グッと力を込めてやると、名無子が嬉しそうな声を出した。

「あら、楽〜!」

無邪気に喜ぶ名無子の背後で俺は何の気なしにとった行動を心底後悔した。
なぜってそれは、名無子の体に密着する自分がもはや欲望の塊と化してしまっていたからだ。

このまま、抱きしめたい……。

鼻先をくすぐる名無子の髪の香り、手や腕に触れるその肌のなめらかさ、視線を落とすと目に映るなまめかしい首筋。
そのどれを取っても今の俺には自分の欲情を高めるばかりで、それに対抗する抑止力をそぎ落としていく。
自分の胸はせわしなく拍動を繰り返し、接する名無子の背にその振動が伝わっているんじゃないかと思えるほどだ。
本能もすでにガンガンにそのヤバさを訴えかけてくる。

このままでいたら俺の理性が――飛ぶ。

でも、もう遅かった。
俺の体は我慢の限界を越え、名無子の華奢な体をその背中から抱きしめていた。

「カカシッ……」

身をすくめた名無子をさらに強く抱きしめ、俺は彼女の首筋に顔をうずめる。



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