好き? のち大好き (ページ4/13)
「無理しなくていいから。今日は帰って寝なよ?」
シカマルが不満そうに私の顔をチラリと見た。
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないよ、もう。そんな疲れた顔して」
「疲れた顔なんかしてねぇーし」
「してるじゃないよ」
シカマルがバッと私のほうを向いた。
「してねぇーよ! 俺は今日なぁッ……!」
噛みついたかと思うと、シカマルはクッと口をつぐんだ。
切れ長な瞳に悔しげな色が浮かべ、眉をしかめる。
そのまま黙りこみ、地面に視線を落としてしまった。
私は何と言ったらいいのか迷いながらもシカマルを見つめ、ベストのすそを引っ張った。
「ほんとに今日は帰って体休めてよ。体調崩したら大変でしょう?」
「お前はそんでいーのかよ?」
「何が」
「だからッ……俺が帰ったら遊びに行けねぇーだろ! お前はそんでいーのかよ? お前は……」
シカマルはそこで口を閉ざすと言いづらそうに呟いた。
「今日楽しみじゃなかったのかよ」
小さな声のくせにその呟きは私の耳を真っ直ぐ貫き、胸の奥底まで届いて体の中心から大きく揺さぶる。
シカマルも……今日のデート楽しみにしてくれてたんだ。
シカマルの想いに気づいて、私はベストを握る手に力を入れた。
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