嫌のち好き? (ページ9/10)
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このチョコにはカカシ先生に恋する気持ちが詰まっているのだ。
そんなのをシカマルに渡すなんて失礼過ぎて私にはやっぱり嫌だ。
だから、今からでも新しいチョコを買いに行ってこようって思う。
今度はシカマルのために選んだチョコを――。
シカマルがゆっくり腕をおろしてパンツのポケットに両手を突っ込む。
若干ふてるような表情で顔をそむけ、シカマルは伏し目がちに口を開いた。

「お前のそういう……人の気持ちに向き合おうとするとこ? そういうとこ、マジやべぇから」

精いっぱいの褒めなのだろうが、シカマルにはどうやらそんなセリフは恥ずかしい様子で、きれいな切れ長の目元に鮮やかな朱が広がった。
唇は気難しげに結ばれて、恥ずかしさを隠蔽するがごとく強がりを見せる。
いつもは見られないシカマルの顔つき、様相に胸のあたりがソワソワしてしまう。

「あ、あの、じゃあ……その辺で待ってて。私、すぐ買ってくるし」
「ん、あぁ」

私はいたたまれずシカマルに背を向け、商店街へと足を向ける。
シカマルのもとを離れ、足早に歩きながら、どんなチョコがいいかなぁなんて考えてみたりする。
その買ってきたチョコを渡すとき、シカマルは一体どういう顔をするんだろう。
また、さっきみたいに怜悧さの似合う顔を恥らいの赤に染め、視線を地面に泳がすのだろうか。
そうかもしれない。
そんな推測に自然と頬がほころび、私の胸がさらにソワソワを強める。
今頃、シカマルは待機所近くの場所で手持ちぶたさで待っているに違いない。

早く買って行ってあげたいな――。

頭に浮かぶシカマルの顔。
いつしか私の足は走り出していた。





Happy Valentine's Day!!
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