嫌のち好き? (ページ8/10)
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言いたくもない言葉を言わされたとでもいうような苦い苦い顔をして、そのくせ耳から頬までひどく赤らめたシカマルは私が今まで見たことのないすごく新鮮な姿で、なにか胸の奥がギュッと握りしめられた感覚になった。
カカシ先生への憧れ感とは違う、もっとちゃんと目の前にあるこの気持ちの確かさはまだ恋愛感情だなんて言うには早いのかもしれないけれど、でも、どこか確実に私のシカマルに対する思いを変化させている。
それがわかったからこそ頭の中には否定が浮かんだ。

だったら――やっぱり、あげちゃダメだ。

私は自分の前で苦り切った顔で立っているシカマルに手を伸ばし、その手からパッとチョコの箱を取り上げた。
私の行動に驚いたシカマルが慌ててこちらに顔を向ける。

「なにすんだよ、それ、よこせ!」
「ダメ、あげない」

追いかけてくるシカマルの手から逃れるため、私は背中にチョコを隠し、後ろ向きに数歩軽く飛びのいて逃げる。

「おい!」

結構本気でチョコを取り上げようとするシカマルの真剣な表情にちょっと嬉しくなりながら、私はシカマルに告げた。

「アンタには、ちゃんとアンタのこと思って選んだチョコあげるから、ちょっと待ってて!」

私からチョコを奪おうと伸ばしたその腕をシカマルがビクッと止める。
マジマジと私の顔を見つめるシカマルに言葉を付け足した。

「カカシ先生のこと思って買ったチョコをシカマルに回すなんて私にはできないの」



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