嫌のち好き? (ページ6/10)
「ちょっと、返しなさいよ」
シカマルの背中に呼び掛けてもまったく振り向きもせず、シカマルは真っ直ぐ歩いていってしまう。
「ねぇ! 私からチョコ貰っても、アンタしょうがないでしょ!」
私はシカマルの前に回り込み、その行く手を阻んだ。
ようやくシカマルが足を止め、私の顔を見る。
「それにそのチョコ、カカシ先生にあげようとしたやつだし。そんなの他の人にあげらんない、返して」
「別に俺は気にしねぇーよ」
「だけど」
「いいって言ってんだろ?」
「いや、でも」
「だから、俺はッ……」
そのまま言い淀み、流れる沈黙。
しばらくしてシカマルは私から顔をそむけた。
「俺は、義理でもなんでも、例えば他の奴のために用意したチョコでも、お前のチョコが欲しいんだよ――」
え、何言って……シカマル?
簡単に言葉を失う私の前で、シカマルは視線を地面に突き立てながら耳元をほのかに赤らめ、ついでガガッと頭をかきむしった。
「あぁ、もう!! なんなんだよ、俺はただカカシが本命以外のチョコは断るって聞いてたから、お前がチョコ貰ってもらえなくてヘコむんだろーなって心配してついてきただけなのによ。それを……」
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