嫌のち好き? (ページ3/10)
上忍待機所を含む建物内に入り、それに使われている部屋のドアをそぅっと開けて中を覗き込むと、出窓のところに腰かけ足を投げ出すように重ねて伸ばすカカシ先生を見つけた。
背を壁にもたれかけ右手の本に目を落としている。
その姿に私の乙女スイッチがカチリと入り、胸の前、両手を組んでうっとりと見惚れる。
ハァー素敵、とため息を漏らした後、私は勇気を出して声をかけた。
と、言っても小声でコソコソ名前を呼んだだけだ。
「カ、カカシ先生……」
精いっぱいの私の呼び声にカカシ先生の目が本からこちらにふっと向く。
私の姿に気づくとカカシ先生は軽く目を開いた。
「すいません、あの……ちょっと来てもらって……」
いいですか? を聞き届ける前にカカシ先生は本をパタンと閉じて立ち上がり、待機所の入り口まで来てくれた。
「どーした、名無子? 何かあった?」
「あ、いえ、何もないんですけど……」
にゃむにゃむと口の中で呟きつつ、カカシ先生を部屋から廊下に引っ張り出し、手で大事に持っていた小さな箱を差し出した。
いい具合に廊下には誰一人おらず、先ほどまで私の後ろをついて離れなかったシカマルの姿さえ見えない。
この隙にとばかりに私は口火を切る。
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