嫌のち好き? (ページ1/10)
ホントにコイツは嫌な奴だ。
待機所に向かうその後ろをダルそうについてくる足音に思いっきり舌打ちをかまし、私は振り向きざま大音声で怒鳴った。
「だから、いつまで私の後ついてくんの、アンタ?! いい加減どっか行ってくんない?! 私の後ろ歩かないで!!」
それに答えたのはシカマルだ。
相変わらず非尋常的な気だるさを纏い、シレッと言ってのける。
「行く方向が同じだけだろ。俺もそっちに用があるんだ、いちいち噛みつくなよ、面倒くせぇ。そんなにキャンキャン吠えてっとカカシに嫌われんぞ」
「――ッ」
突然出された名前に私は虚を衝かれ、反論を飲みこんだ。
あぁ、だからコイツは嫌なんだ。
どうしてここでその名前を出すかッ!
カカシ先生は私の大好きな上忍の先生だ。
好きというよりはっきり言って憧れ、羨望のほうがしっくりくる、いわゆる芸能人有名人に恋心を抱いているようなものだ。
その名をいきなり投げつけられ、私が黙りこんだのをいいことに、シカマルは厭味ったらしく口端を引き上げて追い打ちをかけた。
「ま、どうせお前は待機所にでも行って、憧れのカカシ先生を前に目をハートにしながらチョコを渡すんだろ? そんなんお見通しだっつぅーの」
ハグッと奥歯を噛みしめるしかなかった。
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