a meteor-2 (ページ11/13)
吐き出す白い息が互いにかかるようなそんな近さに私の頬は暗がりの中、先ほどよりもさらに真っ赤に上気した。
「ちょっと窮屈だな。まぁ、それも、いいか」
ネジの甘く優しい声が耳元をくすぐったかと思うと、ネジが私の手を握りしめ、指を絡めてきた。
指先から伝わるネジの体温、そして――。
私の頬にやわらかな何かがそっと触れた。
ネジが私の頬にキスをしていた。
え、うそ……。
キス――?
時が止まったかのような錯覚と、その直後、襲い掛かる胸をきゅうっと締めつける感覚。
冷たい頬に落とされた熱はすぐに離れていったものの、それはまぎれもなく唇の熱さで、ずっとずっと触れてみたかったネジの唇のものに間違いない。
ネジの唇に……私、触れたの?
アカデミー時代には自分の代わりにシャーペンで触れるのが限界だった。
だけど、そのネジの唇は今はもう私でも触れられ、手の届かないものではないと言ってくれている。
バッと熱が広がった。
キスを受けたところから頬も首も胸も腕も足も体中一気に熱さが駆け巡る。
顔など到底あげられない。
もうそろそろ双子座流星群のピーク時間になるというのに私はもう流れ星どころではなかった。
ただネジと肩を寄せ合い、立っているだけで精いっぱいになっていた――。
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