EMERGENCE-1 (ページ3/12)
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「あー忙しいじゃねぇよ、このパシリ。ごまかすな。前に言ったろ、ちゃんと修行しろよって。やってんの、お前?」

そりゃ、まぁ、一応。
ヒナちゃんと一緒にネジさんにケイコつけてもらったりしてますよ。

「やっております……」
「ほんとに?」

シカマルが疑わしげな視線を寄こした。

あらあらあらあら、なんて失敬なこの対応。

私がムゥーッと見上げると、シカマルは私の肩先に視線を移して言葉を続けた。

「俺もお前の医療忍者としての腕は認めてるよ。けどなぁー。体術、忍術、そういう戦闘能力にいたってはこう言っちゃぁなんだが、お前、青虫レベルだぞ」

グサッ……。
青虫……。

ストレートに言われて、ちょっと目眩がする。
でも、そうなんだ。
シカマルの言うことは正しい……。
私の医療忍術はなんとか人様のお役に立つスキルまでアップした。
けど、もともと不得意な体術やら忍術やらは修行もサボリがちだし、ほんとイケてない――。
私は呟くように無駄な抵抗を口にした。

「あお…青…青虫って……。シカマル、青虫はちょっとさ、ヒドクない? なんかもっと、こう、あるじゃん、他に。ボウフラとか……」
「は?! ボウフラ?! お前はボウフラでいいのか?! ボウフラの未来って蚊だぞ、お前! よく考えろよ!! まぁ、青虫って言ったのは、なんつーか、アレだ、ちょうど目に入ったからで……」
「目に入った?」
「そ。お前の肩に乗っかってんの」
「あぁ、なんだ、私の肩にね」

青虫がね。
へぇー青虫が。
……。



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