a meteor-2 (ページ9/13)
「ずっと前から好きだった。これからは俺のそばにいてほしい」
頭の中で白いペンキの入ったバケツがひっくり返ったみたいに脳内が真っ白に染めあげられていく。
え……ネジが、好き?
誰を?
誰を、私を?
私を、私を、私を――。
「あ、のッ……」
それだけ言って言葉が出てこなくなる。
乾く喉を懸命に湿らせ、上がる息を精いっぱい吸って、必死に自分に言い聞かせる。
落ち着いてよ、私ッ……!!
一度地面に目を落とし、一呼吸置いた後、顔をあげてみる。
何を言いたいかなんてそんなのちっともまとまるわけがなくて、だったら一層、口を衝いて出る言葉をそのままに伝えればいいかと思いいたる。
私は意を決した。
「私は……私は何をやってもネジには敵わないけど……でも、たったひとつ確実に勝てるものがあるの」
怪訝そうに首を傾げるネジを私はしっかりと見据えて言う。
「それはね、私の方がネジよりももっとも〜っと前からネジのことを好きだったってこと!」
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