a meteor-2 (ページ7/13)
今夜はもうすでにこの冬購入したマフラーを首に装着しており、外気温に震えることなくすんなりと玄関から持ってきていた忍靴を履いてネジと一緒に部屋を飛び出した。
そうして辿りついた場所は――前に流星群を見た丘の上だった。
「うわぁ〜!! やっぱり流れ星キレ〜イ!!」
見上げた濃紺色の空の闇を今夜も金色の小さな粒が光鮮やかに滑り落ちていく。
その一瞬の輝きに私が目を瞠り、はしゃいだ声をあげると、隣に立っていたネジが頬をゆるめた。
「お前は……。相変わらずだな、そういうとこ」
「え? 何が?」と首をかしげつつ、ネジを見て、その後すぐに空へと目を戻す。
「あッ、ネジ、今の見た?! 今の流れ星の尾、めっちゃ長くなかった?! すごくない?! あぁ! あっちで今みっつ並んで流れてったよ?! キレイじゃない?!」
次々と元気に喜ぶ私にネジは苦笑いの態で「そうだな」とひとつひとつ丁寧に相槌を返す。
でもそれが途中でふと止んだ。
急に静かになった隣が気になり目を向けると、今まで空を一緒に見上げていたはずのネジはその視線を横にいる私へと投げかけていた。
「ネジ? どうかした?」
私の呼び掛けにネジが伏し目がちに笑みを浮かべた。
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