a meteor-2 (ページ2/13)
「え? あぁ……」
「それ、アカデミーの頃から使ってなかったっけ? 名無子、物持ちいい〜」
感心したテンテンが「見して〜」とシャーペンに手を伸ばしてくる。
単なる興味で見ようとしただけだとわかってはいるが、私はその手に触れられぬようスイッとシャーペンを机の下に隠した。
「ダメでぇ〜す」
「何よぉ、ケチ。減るもんじゃないし、いいでしょ〜」
「ダメなもんはダァ〜メ!」
拗ねるように言ってくるテンテンに私はベェ〜と舌を出して対抗する。
ケチで結構、残念ながら人に触られたら減っちゃうんです〜。
ここに残るネジの唇の温もりが――。
私は机上の書類に目を落とし、そのままさりげなく話を変える。
「そういえば今日ってさぁ……」
テンテンは内容を最後まで聞かずに、察しよく答えた。
「あ、今日だったっけね」
「大丈夫かな?」
目をあげた私にテンテンが力強く答える。
「大丈夫でしょ、アイツなら」
テンテンのまったく意に介さない姿が頼もしくて、私も、だよね、と自分を励ますように頷いた。
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