EMERGENCE-1 (ページ2/12)
「そぉですか、そぉですか。そりゃ、良かったねー。そんじゃ、これから仕事帰りのおケイコにでも行くんですか? ソバ打ちか? ギターでボサノヴァか? それともマタニティヨガか?! シカマルなんか消しゴムでハンコでも作ってればいいんだあぁぁ!!」
「なんだよ、それ?! マタニティヨガなんか行くわけねぇだろ! 男がマタニティってありえねぇよ!! っつーか、お前こそ消しゴムでハンコ作れっ!!」
「フンッ。そんなの、とっくにプロ級だから」
「えぇっ?! 作ってんのオォォ?!」
当然だろ、忍としてのたしなみだ。
満足げな顔をした私に
「いやいや、誰も誉めちゃいねぇよ」
とりあえず突っ込むと、あきれ顔のシカマルは続けてもっともなセリフを吐いた。
「あのなぁー、お前、そんなことしてる暇あるんなら修行しろ、修行」
うげっ。
ヤバイ。
なんか話の風向きがよろしくない……。
私はクルッとシカマルに背を向けて
「んじゃ、そーゆーことでね。あー忙しい、忙しい」
何食わぬ顔でその場を後にしようとした。
ガシッ。
「待ぁてぇ」
ハイ、名無子確保ぉーー。
私の腕は見事にしっかりシカマルに掴まれていた。
「……何」
私がオドオドとシカマルを見上げると勝ち誇った顔をされた。
(ページ2/12)-2-
←|→ backselect page/12