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解きながら、右手に握られたシャーペンにそっと目を向ける。
ついさっきネジの唇に触れたシャープペンシル。
なんだかこれがあればどんな問題でも解けてしまえそうな気がしてくるからおかしなものだ。
そうだ、私、物理のテストではこれをお守りにしよう。
そしたら苦手な物理もがんばれそう!!
その安易な名案に自然と顔が笑ってしまった。
「ふふっ」
ネジが怪訝そうに目を細める。
「なに嬉しそうに笑ってんだ」
「ううん、物理のテストがんばんなきゃなぁ〜と思って」
首を軽く振ってこたえる私にネジが真面目に頷いた。
「あぁ、いい意気込みだ。でもその前にこの問題を解くのが先だな」
「そうだったね、がんばるよ!」
私は明るく返事を返し、目の前の宿題プリントに視線を戻す。
そして、
トンッ……。
手にしたシャーペンの上端部、ネジの唇を受けたそこに、自分の唇を軽く押し当てた。
for dear MIA.
20101204
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