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悩みながらも自分で公式を見つけ、4つの問題を解き終える。
ずいぶん時間がかかってしまったが自力で解いたということが嬉しくて勢いよく顔をあげた。

「この4問解けたよ、ネジ!!」

ぱぁーっと明るい表情でネジの方を見ると――

「あらららら?」

ネジは先ほどの頬杖ついた姿勢のまま、まぶたを落とし、私の隣で静かに眠り込んでいた。
勉強や忍術体術、何をやらせても学年トップの真面目なネジが居眠りなんてちょっと意外だけれど、夕日でほかほかと暖まったこの教室ではそのネジでさえ気持ちよく寝息を立ててしまうのも頷ける気がした。
それにネジは元来持つ天才資質に加え、努力することを忘れぬ頑張り屋だ。
勉強にしても修行にしても日々ハードにこなす姿は想像に難くなく、そのせいできっと体も疲れているに違いない。
私はネジを起こさぬよう静かに顔を覗きこんだ。
窓から入るずいぶん傾きのついた陽の光はネジの頬や唇を綺麗なオレンジ色に輝かせ、伏せられたまぶたの下には黒くて長いまつげの影を作る。
その端正な顔立ちに今、居眠りという名の無防備さがほんの少し交雑し、いつも冷たく見えるネジの雰囲気をやわらかな丸みを帯びたものにしている。
トクン、と自分の胸が鳴った。

今なら、触れてもいいんじゃないかな――?

ネジの無防備さのせいだろうか、私は無謀にもそんな不思議な感覚にとらわれる。



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