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「そう不安そうな顔をするな。大丈夫だ、お前一人で取り組めとは言わないから」
先生は私の斜め後ろへと視線を投げる。
「ネジ、そういうことだ、物理トップのお前が名無子にわからないところを教えてやってくれ」
その一言に私の顔がバッと晴れる。
先生、今なんて?!
ネジ?
ネジが一緒にやってくれるの?!
今まで心を占めてた絶望感はどこへやら星の彼方遠く瞬く間に光速移動し、代わりに喜びに満たされた私の心が軽々と躍り始める。
それもそのはず、ネジといったらこのアカデミーで私が密かに想いを寄せる人なのだ。
そのネジに放課後マンツーで勉強を教えてもらえるのなら、それはもう願ったりかなったり、たとえ自分の物理音痴を見られようとも、放課後の教室でネジと二人っきりなんてシチュエーションがまず滅多に訪れないことを思えば、たかが物理の出来の悪さくらいさらけだしたところでお釣りがくるというものだ。
私の瞳は希望に輝き、溢れんばかりの期待を胸に背後を振り向いた。
視線の先で無表情のネジが首を縦に振る。
「わかりました」
決して乗り気ではないだろうけど、先生からの頼みで断れるわけもなく、ネジはその件を素直に承諾した。
私は心の中ですっかりガッツポーズだ。
先生、グッジョブ!!
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