over the dark (ページ8/15)
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『彼女を支える覚悟はあるの?』

カカシの言葉が頭をまわる。
名無子のことは本当に好きだ。
だから、支える覚悟くらいって意気込むけれど、カカシとサクラの話を聞いて考えれば考えるほど、そんなに甘くはないんじゃないかと思った。
病人を支えるなんて、そう簡単なことじゃない。
その現実が俺の周りに大きな闇の渦をつくり、それに追い立てられるように、俺はどんどん不安になっていく。
胸にこみ上げる名無子への想いと足元から立ちのぼる現実の恐怖が、俺の中でせめぎ合う。
でも、臆病な俺には、やっぱり病気の名無子を支えていく自信なんて持てない気がした。

俺には……無理だろ、そんなの。
だったら。
だったら、もう、忘れよう――――。
俺は名無子に振られてんだし、ちょうどいいじゃねぇーか。
だから……。

俺は何かに言い訳するみたいに、もう一度、心の中で呟いた。

忘れてしまおう。
名無子のことは―――。





それからは、コクってくる女をとっかえひっかえ彼女にした。
どの女も同じようにしか見えなくて、俺は名前を間違えたり、ろくに話を覚えちゃいなかったり、本気で思い合うなんてこととは程遠い関係ばっかりだった。
でも、みんな、健常者だ。
俺にはソイツの面倒見る覚悟なんてまったくいらねぇー。
そんな覚悟いるような女と付き合うよりいいはずなんだ。

なのに、なんでこんなにも、俺は満たされねぇーんだよ?





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