over the dark (ページ5/15)
サクラがカカシのあとを受けて、つらそうに説明する。
「名無子の病気は筋力の低下していく病なの。原因がわかってなくて、治療法もまだ見つかってない。病気が進行してしまうと体中の筋肉が動かせなくなって、手で物が持てなくなったり、それこそ瞼や口にいたるまで動かせなくなる。名無子はリハビリがんばってるから進行を遅める事はできると思う。でも、治すことはできないわ。だから、そんな話をして、名無子はシカマルに心配かけたくなかったのよ」
体の筋肉が動かせなくなる……?
え……?
俺の目の前が、一瞬で真っ暗に染め上げられていく。
なんだよ、それ……。
治療法もナイって……。
心配かけたくナイって……。
頭の中に自然と、一緒に暮らしていたときの名無子とのやりとりが思い出される。
手から皿を滑らせて割ってしまった名無子を、俺はふざけてからかったけど、あのとき名無子が顔を曇らせたのはこの病のせいだろうか。
最近帰りが遅いって、俺はアイツにブーたれたけど、それはもしかして、リハビリとかしてたためなのだろうか。
そんな……。
「じゃあ……アイツが…俺の前から消えたのは……」
「ま、そーゆーこと」
俺の途切れ途切れの言葉にカカシがうなずいた。
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