over the dark (ページ3/15)
 bookmark?


どれだけヘコんでも任務を休むわけにはいかず、名無子が出ていってからもずっと、俺は任務をこなしてた。
けど、内容なんか覚えてない。
頭ん中は名無子のことでいっぱいだ。
未練がましいのは好きじゃねぇーが、結婚しようとまで惚れ込んだ女に、理由もわからず、いきなり振られたんじゃ、納得しようにもできやしない。
やっぱりもう一度やり直そうって、追いかけようとも思った。
でも、家族をみな亡くしている名無子に行くあてはなく、俺にはアイツがどこに行ったのかさえ、探し出せないでいる。

どこに行っちまったんだよ……。

アイツは今、どこで、どうしているというのか。
俺は名無子のことが気になって仕方なかった。





今日も記憶に残りもしねぇー任務を終え、俺は重い足を引きずって家へと向かう。
その途中、木の葉病院の前を通りかかると、カカシとサクラの姿が目に入った。
門のそばで何か話している。
その話し声が、聞くともなく側を通り過ぎる俺の耳まで届く。

「その後、彼女の病気はどう? 悪くなったりしてない? 俺も近いうち、顔見に行こうとは思うけど」
「えぇ、今のところ変わりはないわ。でも、一人でいろいろと辛いと思うの。カカシ先生が行ってあげたら、きっと喜ぶわよ、名無子も」

―――ッ!!

突然、会話の最後に出された名無子の名に、俺の息が止まる。



(ページ3/15)
-3-
|
 back
select page/15

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -