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大会の会場はアカデミーの体育館。
そこに向かって俺はこれでもかって言うくらい真剣に走った。
空き地を抜け、坂を駆け上がり、アカデミーまであと少しという場所に位置する児童公園の公衆トイレに走り込む。
はぁはぁはぁ……。
肩で息する俺が公衆トイレの鏡に映った。
案の定、全力疾走の俺の顔はひどいテカリようだ。
持ってきてよかったぜ……。
俺は懐から油取り紙を取り出して、ウッと呻いた。
『テマリ』
先程は裏側しか見ておらず気づかなかったが、油取り紙のおもて表紙にその全体を大胆に使いきって、でっかく持ち主の名がマジックで書かれている。
なんだ、こりゃ……?
テマリ以外使うなっていう威圧のつもりか?
まぁ、いい。
そんなのお構いなしじゃん。
俺は気にもかけず、厚紙の表紙をめくって、さらに驚く。
中の油取り紙自体にも端っこに小さく「テマリ」と書いてあるのだ。
えぇ―――?!
念のため何枚かめくってみると、そのどれにもお名前が記入済みだ。
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