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あぁ、俺はそのままのお前で構わない。
さぁ、おいで、俺の腕の中へーーー!!
「何をしている、カンクロウ。」
ズザッガゴッ!!
草むらから、いざ飛び出さんと体育館へ駆け寄ろうとした俺の背中に突然声がかかり、俺は足を滑らせ、茂みに顔から飛びこんでしまった。
い……いってぇーじゃん……。
生い茂る草木の間から顔をあげ振り向けば、そこには葉っぱまみれの我愛羅が腕を組んで威丈高に立っていた。
「ガ……ガアラ」
「何をしているんだ、こんなところで」
いや、お前こそ。
なんで葉っぱまみれなんだ?!
そんな姿で腕を組んで威厳的な態度が取れるのはお前くらいだ、我愛羅。
「ォ…俺は弟子の様子を見に……ちょっとな」
「弟子?」
「あぁ。結構かわいい感じの女の子で、最近、傀儡を俺が教えてやってんじゃん」
俺がちょっと照れるように、しかし半ば自慢げに説明してやると、我愛羅はいつも無表情なその顔に明らかに感情の色を浮かべた。
それは哀れな生き物に対する憐憫の情、まさにそんな感じだ。
「ついに幻覚を見るようになったか、カンクロウ。かわいそうな奴だ」
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