君ニ捧グ-3 (ページ9/10)
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マリア?
マリア、なんでお前の声が……?
それに、もう、いいよって……。
どういう意味だよ、それ?
お前は俺に何か伝えようとしてるのか?

俺の頭が、心が、混乱する。
懸命に、聞こえた言葉の意味を考えて辿りついた答えに、俺は息を詰めた。

もう、いいよって、お前、もしかして……。
自分のことはもういいよって、他に好きな人が出来てももういいよって、もしかしてお前は、そう言ってんのかよ?

届いた言葉の意味にぼう然とする。
名無子も赤丸も、俺のつらい顔は見たくないと言った。
そして、それは。

マリア、お前も同じだっていうのかよ?
そう思ってるっていうのかよ?

もうすでに俺の周りに風はない。
無風状態の大気中に、俺の疑問だけがただ漂い続けてる。
そんな俺の体を突然、赤丸が前足でバシバシと叩いた。

「なんだよ、赤丸、やめ……」

その言葉の途中で俺はハッとする。
赤丸が俺の上着のポケットを叩いていることに気づいて、俺はポケットに手を入れた。



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