君ニ捧グ-3 (ページ2/10)
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家の扉を勢いよく開けて靴を脱ぐのももどかしく、あわてて階段をかけあがる。
自分の部屋に飛び込んだ。
真っ暗な部屋に月の明かりが差し込んで、ステレオの上のフォトフレームを銀色に輝かせる。
俺はステレオに近寄って、写真の前にひざまずいた。
写真の中では、俺のとなりに寄り添ってマリアが笑ってる。

マリア……。
ごめん。
俺はお前を裏切るようなことをした。
あれだけ強く、一生お前だけだって誓ったのに。
けど、もう、こんなことしねぇーから。
もう、アイツに会ったりしねぇーから。
俺は今までどおり、お前のことだけ思って生きていく。
だって、俺はそう決めたんだから。
三年前に。
そーだろ?
マリア――。

俺は自分の左手を、薬指にはめたリングの上から右手で強く握りしめた。
そのまま俯くように目を閉じる。

これ以上、アイツに惹かれるわけにはいかねぇーんだよ。
これでいい。
これで……。

俺はその二日後、一ヶ月の任務に出た。





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