アル・ワールド
episode.04 (ページ1/5)

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泣き出しそうな空が、僕の上に広がっている。
絵を描く気にもなれず、かといってガーデニング市に行くわけでもない。
手にしたはずの行き先を再び見失った僕は、そんな曇天の空の下、演習場の一つに影の薄い体を運び、修行を始めた。





それから何時間経ったのだろう。
いつの間にか厚くたれ込めた灰色の空から細い雨が降り出して、僕の体をしっとりと濡らしてる。
僕はあたりに散乱したクナイや手裏剣を一つずつ拾い集めた。
もう名無子と約束した時間からずいぶんと経過している。
あと少し経てば辺りはすっかり暗くなるはずだ。
そんな時間じゃガーデニング市も終わってしまっているだろう。
僕は拾い終わった忍具をしまうと演習場を後にした。





家に帰る道をはずれて、僕は野原に向かった。
こんな時間じゃ名無子はもう帰ってしまったに違いない。
天気だって雨が降り出して、こんな中名無子が僕と約束した待ち合わせの野原にまだいるわけなんてない。

いるわけがないんだ。

でも何故かそのことをこの目でどうしても納得したくて、僕は何かに急き立てられでもするかのように野原に向かって走った。





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