アル・ワールド
episode.15 (ページ1/2)

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根の仲間たちが姿を消した方角を見つめながら、どうやらこの状況を切り抜けられたと思う。

あの口調からして……。

根の者からこんな風に襲われることはもうないはずだ。
心の中でホッと息をつく。
体中を締め付けていた緊張からようやく解放され、僕は名無子に目を向けた。

「大丈夫?」
「……」

僕の問いかけにうなずくこともできないで、名無子はヘナヘナとその場にへたり込んだ。

「ごめん。怖い思い、させちゃったね」

彼女の前にしゃがみこみ、僕がそう言って謝ると、名無子は首を横に振り、顔をゆがめて泣き出した。

「違ッ……!! サイの手が……!!」
「あぁ」

まだ血の止まらない左手を、僕は落ち着いた顔で眺めた。

「あぁ、じゃないよ!! なんで……!!」

名無子は自分のポケットから取り出したハンカチで僕の左手を押さえた。
真っ白なハンカチが見る見るうちに赤く染まっていく。
そのひどく鮮やかな赤い染みを見つめながら、名無子が苦しげに叫んだ。

「私のことなんかッ――!!」

名無子の言葉に、僕は彼女の顔をまじまじと見た。

私のことなんか?
その後の言葉はなんだろう?
私のことなんかどうなったっていいとでも言うんだろうか。
そんなわけないよ。
キミがいなきゃ。
こんな世界、すぐ色褪せる。

僕は涙をこぼすキミの頬に右手を伸ばして、そっと触れた。
指先でスッと涙を拭う。



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