アル・ワールド
episode.13 (ページ1/1)

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苦戦。
それは当然のことだ。
根の者相手にそう簡単に勝てるわけがない。
勝てるどころか、僕ら二人が彼らと対等にやりあえていることだけでも褒めるに値する。
僕は根の忍二人を相手にしながら、超獣偽画の術で放っておいた狼たちが、忍一人と闘っている名無子を援護する様を確認した。
それにしてもキリがない。
彼らの攻めはさすがに的確で無駄がなく、僕の隙を誘うように間断なく打ち込んでくる。
もし僕に隙ができればきっと、今、一対一とはいえ根の者相手に善戦している名無子にすかさず攻撃を移すだろう。
彼らの目的はただ一つ、名無子を消すことなのだから。

そんなことさせないよ――。

僕は刀で一人のクナイをしのぐと、もう一人の体側に蹴りを伸ばした。
その足を腕ではたかれ、相手から鋭い拳の突きをくらう。
クッと歯噛みしてよろめく体勢を立て直す僕を、クナイを手にした男が容赦なく攻め込んだ。
次々繰り出される攻撃を、僕は刀で一撃ずつかわしていく。
そんな僕の脇を、もう一人の男が背中の剣を引き抜きながらサッと走り抜けた。

アイツ――。

頭上に振りかざされるクナイの軌跡を刀ではじきながら、僕はそのもう一人の姿を目で追った。
剣を構え滑るように走る男は、こちらに背を向け自分の相手と懸命に闘う名無子めがけて、一直線に差し迫る。

マズイ…名無子――。

彼女を援護していた狼たちはすでに見事に消されている。
彼女を守る為に新たに超獣偽画の術を使おうにも、今の僕はクナイの攻撃を防ぐのでいっぱいだ。
それに。

今から描いても間に合わない――。

僕は繰り出されるクナイを避けることもせず、そのまま相手の体に飛び込むと、力いっぱい蹴り飛ばした。
肩に走る鋭い痛み。

でも、そんなものに構ってなどいられない。

名無子の背後から、その心臓に剣を突き立てようと男が走り込む。
僕はもどかしい空気抵抗を振り切るようにその後を疾駆した。







to be continued.
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