アル・ワールド
雪ウサギ (ページ6/7)

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それから僕たちは、どちらともなく、バルコニーの外へと目を向ける。
相変わらず、無音のまま降り続く雪。
その下に木の葉の里が白く埋もれていく。
先ほどよりも積雪を増した里の様子に僕の胸が軽く弾んだ。

「やっぱり今日は帰れなくなるかな」

名無子の顔をちらりと見れば、視線を下げながらも目元に笑みを浮かべた名無子の表情が目に入る。

「そうだね。うちに泊まることになりそうだね」

名無子が遠慮がちに顔を上げ、僕とパチリと目が合う。
なんだか互いに気恥ずかしくて、そんな様がちょっと滑稽で、ふたりでクスッと笑いあった。
名無子がチェッカーベリーの鉢を抱え、立ち上がる。

「じゃあ、寒いし、窓閉めよう」

僕も立ち上がり、首肯する。

「うん、それがいい」

カラリと窓をスライドさせて、僕はもとのようにカギをかけた。
ガラス越しに外を一瞥して、僕は名無子のいる温かな部屋の中へと戻っていく。
窓の外には――。
雪に沈む里の町並みと。
仲良く寄りそう二匹の雪ウサギが、静かに静かに残された。





end.
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