アル・ワールド
雪ウサギ (ページ1/7)

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名無子の家に遊びに来た僕は彼女の出してくれた紅茶を飲みつつ、窓の外に目をやった。

「なかなか止まないね」

外は今朝から降りだした雪が今もしんしんと降り続けている。
名無子は、部屋の中が充分温かいにもかかわらず、かまくらか何かで寒さをしのぐ子供みたいに身を縮こまらせてうなずいた。

「ほんとに。このぶんだと積もるかもね」

両手でカップを持ち、紅茶の熱で温まろうとしながら、名無子は僕の顔を覗き込むように視線を寄こした。

「帰る、サイ?」

え?
帰るって、どうして?

僕が首を傾げると、名無子は瞳に心配そうな色を浮かべた。

「雪積もっちゃったら帰るの大変じゃない?」

どうやら僕の帰りを気遣ってくれているらしい。
そのことに気がついて、思わず笑みがこぼれた。

「ありがとう。そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「そう?」
「うん。それに、もし雪がすごく積もって帰れなくなったら、ここに泊っていくことにするし」



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