リアル・ワールド
episode.12 (ページ4/4)
一緒に闘う。
逃げないよ?
名無子の顔がそう言ってるようで、僕は彼女を凝視した。
名無子……。
怖くないわけない。
こんなふうに突然わけもわからず襲われて、名無子が怖くないわけないんだ。
でも。
彼女は確かに笑ってて、その笑顔に僕の理性が生み出すマイナス思考は確実に凪いでいく。
僕は三人の根の忍に視線を戻した。
そのまま静かに口を開く。
「名無子、僕は根に属している。彼らはその仲間だ。そして、根では感情を持つことが許されてはいない。だから僕が特別な感情を抱く君の存在を彼らは消そうとしてる」
「うん」
「彼らは、強いよ?」
僕の言葉を証明するように、三人は僕の放った墨絵の虎など難なく潰してくる。
その光景を目の当たりにしながら、それでも、
「うん。わかってる」
名無子は僕に答えた。
そんな名無子に、僕もいつもの口調でゆっくりと言葉を返す。
「そう。じゃあ、一人まかせるよ」
「わかった!」
跳ねるように僕に返事して、名無子の体は僕の背後から離れていった。
その気配に、僕はすかさず巻物に数匹の狼を描く。
「超獣偽画の術」
墨絵の狼を名無子の守護に向かわせる。
そして。
僕は心の中で名無子に呼びかけた。
安心して。
キミのことは僕が必ず守るから。
to be continued.
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