アル・ワールド
episode.10 (ページ2/4)

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「今日は忠告しに来ただけだ」
「忠告?」
「あぁ。前にも言ったはずだ。余計なモノに気を取られるなと。俺らに感情なんてものはいらない。ただ任務をこなしていればいい。お前がもしあの女に何かしらの感情を抱いているのなら、さっさと手を切ることだ。誰かと未来を築こうなどと思うなよ? そんなもの、俺らには存在しない。いいな、あの女とは手を切れ」

名無子と、手を切る?

僕は胸の中が急速に冷えて行くのを感じながら、やけに冴え冴えとする意識とともに声を絞り出した。

「もし、それを拒んだら……?」
「その時は……」

根の仲間が言葉の途中でハッと玄関の方を見る。
それと同時に、

トントン!

ドアを叩く音がした。

名無子だ。
名無子が来たんだ。

「人が来たか。まぁ、いい。返事はまた別の機会に聞く」

そう言って仲間が消えた瞬間、もう一度とびらを叩く音がした。

『あの女とは手を切れ』

言われたばかりの言葉が、僕の耳にこだまする。

それを拒んだら、その時はなんだっていうんだろう。



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