アル・ワールド
episode.08 (ページ1/4)

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そのまま、いつの間にか眠ってしまったらしい。
僕はまたあの真っ白な夢を見ていた。
その白い世界で、僕は相変わらず迷子のように途方に暮れていて。
そして、そこにはやっぱりあのキイロい光が灯っていた。
それは以前よりもほんの少し大きさを増して、僕のさまよう心を導いてくれる。





次に起きた時、僕の顔の前には真面目な顔した名無子が待ち構えていた。
突然、

「はい、アーン」

て言われて、僕は反射的に口を開けた。
名無子は僕の口にガラス棒を1本くわえさせると、

「動いちゃダメよ? 体温測るから」

ちょっぴり看護師さんのような雰囲気で僕にそう伝えて、ベッドから離れた。
体温計が舌下で温められていく。
僕の体温で膨張した水銀が、ガラス管内をジワジワと上昇していく。
僕は体温計を口にくわえたまま、目だけ動かして室内を見回した。
出窓から差し込む、昼前といった感じの元気な陽光が、部屋の中を明るく照らし出していた。
その中で、この間ツボミだった花がそのキイロい花びらを鮮やかに開き、咲いてる姿が目に入る。
それは黄色のガーベラ。
その色を見て、僕は、

あぁ、このキイロか。

と思う。
夢で僕を導く光は、このガーベラと同じ色。
ガーベラと同じ、キレイなキレイなこのキイロ。





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