リアル・ワールド
episode.07 (ページ2/2)
ねぇ、名無子。
もっとキミを自分のそばに引き寄せたいよ――。
フイに押し寄せるその思いに、僕の体がたまらなく締め付けられる。
なんなんだろうな。
この感覚は。
キミといると生まれてくる暖かさ。
それがひどく心地よくて忘れられなくて。
僕はどうしようもなく、キミに会いたくなる。
キミの笑顔を見たくなって。
キミに僕を見てもらいたくて。
こんなにもそばにいて欲しいって望んでしまう。
そして、
それが叶わないと僕はひどく苦しくなるんだよ――。
これが本で読んだ恋とか愛とかいうモノなんだろうか。
だとしたら、じゃぁ僕は……。
キミのことが好きってことになるんだろうか。
指先に伝わる君の頬の冷たさに、僕はなぜか自分の気持ちを確信できた気がした。
きっと。
そう、僕は。
きっと。
名無子。
キミが好きなんだ――。
『余計なモノに気を取られるなよ?』
頭の中に響いた呪縛の声を、
余計なモノなわけない。
僕にとって名無子は必要な存在だろう?
確かな否定で打ち消して、僕は暗がりの中、ベッドの上の君の手を迷うことなくしっかりとつかんだ。
to be continued.
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