リアル・ワールド
episode.06 (ページ1/2)
鉛のように重たいくせに変にフワつく体を僕は懸命に疾駆させ、そして、ようやく辿り着く。
名無子の部屋の前。
僕の頭を占領してやまない名無子の部屋。
僕はそのドアをノックした。
トントン。
トントン。
しばらく待っても扉は開かれることはなくて、僕は部屋の主がいないことを知る。
いない――。
突き付けられた現実に自分を支えていた糸が切れでもしたかのように、僕はやけに重たい体をドアにもたれかけさせ、そのままズリズリと地面に落ちて行った。
どこに行ったんだろう。
ダルイ背中でドアによりかかりながら、その前に座り込んだ僕は回転の鈍い頭に疑問を浮かべた。
図書館かな……。
思いついた考えに、図書館まで行こうかと思う。
でも、今の僕はもうここから動けないくらい体の自由がきかない感じだ。
名無子。
早く帰ってきてくれないか……?
僕はドアの前にしゃがみこんだまま、荒い息とともに願うような気持で目を閉じた。
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