リアル・ワールド
episode.05 (ページ4/4)
彼女は余計なモノのはずなのに。
僕は自分で自分がわからなくなる。
僕に必要のないモノだって、僕の理性はわかってるのに……。
その理性を飛び越えて、感覚的な何かが訴え続ける。
名無子に会いたい、って――。
木の葉の里から少し離れた場所で、根の仲間と解散した。
各々、夕暮れに染まる木々の間をちりぢりに散っていく。
僕も他の仲間と別れ、一人、里に向かった。
体の具合は悪くなる一方だ。
完全に息はあがり、体が異様に火照っている。
僕は林の中で立ち止まると面を外して素顔になり、思いきり息を吸って呼吸を整えた。
もう少し。
あともう少しだ。
僕はうわごとのようにそう呟くと、再び走り出した。
必死に足を進ませたその方向は、どこでもない、名無子の住むアパートだった。
to be continued.
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