アル・ワールド
episode.05 (ページ2/4)

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鬱そうとした森の中を、面をつけた僕は敵の忍の一人を追いかけていた。
ようやくここまで追いつめた。
3日間かけて、やっと敵の姿をとらえられた。
すぐ前方を走る敵を倒して巻物を奪う。
それで任務は完了する。
終わりの見えてきた任務に僕の頭が余裕の隙間を見せて、その隙間をチラリと横切る姿があった。

………。

僕はその人影を振り払うように、追いかけるスピードをさらに速めた。





草の上にしゃがみ込み、無事に仕留めた敵の体から巻物を探し出していると、他の仲間がやって来た。

「巻物なら見つけた」
「あぁ、そうですか」

どうやら他の仲間が相手にした忍が僕らの目的の物を持っていたらしい。
僕は下に転がる敵の体から手を離し、立ち上がろうとした。
その途端、クラッと体が揺らいで、よろめきそうになる。
その姿を見て仲間が迷惑そうに口を開いた。

「どうした? 具合でも悪いのか? 足手まといにはなるなよ」
「……大丈夫ですよ」

そう言って、僕はだるい体に力をいれ、しっかり立ち上がる。
今日は朝からずっと体のだるさが抜けない。
そのせいだろうか。
意識が集中できなくて、気を許すと頭の中で余計なモノがチラつきまくる。

余計なモノ。

僕は声にならない呟きを胸の中で漏らした。

名無子――。





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