リアル・ワールド
episode.05 (ページ1/4)
任務に出て3日目になる。
僕は寝床代わりに使った洞窟の中で目を醒ました。
他の仲間が目覚めた気配は無く、まだ皆眠っているらしい。
僕は夜明け前の暗がりで、横になっていた体を起こした。
なんだか今朝はやけに体が重い。
だるいな……。
僕は目の前に広がる闇を眺めた。
なんだろう、この感じ。
10日前から僕の心を覆い尽くす言いようのない虚無感。
あの雨の日から、ガーデニング市のあったあの日から、ずっとこの喪失感が消えてくれない。
名無子……。
僕は闇の中に浮かぶ名無子の顔に目を向けた。
その顔はいつも彼女が見せるような笑顔を少しも覗かせてはいなくて、僕の胸が無性に疼く。
彼女に冷たくしたのは僕だろう?
余計なモノだって、突き放したのは僕だろう?
僕なんだ。
そう、僕なのに。
僕はそのことを後悔してる――。
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