リアル・ワールド
episode.04 (ページ2/5)
闇色に染まる閑散とした野原を前に僕は辺りに目を走らせた。
昼間は賑わっていたであろうガーデニング市も、今は全て撤去されて、もの悲しいほどの静けさを残すばかりだ。
そんな野原では誰の姿もこの目に映るわけがなくて、
あぁ、やっぱり……。
僕の体の中に付き合い慣れた無機質な空洞が広がっていく。
納得した。
誰もいない野原に、僕は無感情に納得した。
それでも。
一瞬、僕の胸を意味の分からない痛みがキシッと訴えたのはなぜなんだろう。
やまない雨の中を、僕は野原を囲む林沿いに歩き出した。
何も感じない。
僕を濡らす雨も、目に映る景色も、僕は何も感じない。
その冷たさも、その色も、僕は何も感じてない。
でもコレが僕本来の姿だろう?
何も感じない。
誰からも相手にされない。
それが普通なんだ。
名無子はちょっと変わってて、今まで僕を相手にしてくれてたけど、さすがに今日は怒って帰ったに違いない。
あきれて帰ったに違いな……。
歩き続ける僕の前方にふっと人の姿が見えて、僕は思考を停止させた。
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