リアル・ワールド
episode.03 (ページ1/2)
体の中から暖かな何かがトクリトクリとわきあがる。
これからガーデニング市に出かける僕はそんな何かを抱きながら、玄関で靴を履き、目の前のとびらをためらうことなく開いた。
その瞬間、
ザシュッ!!
おびただしい殺気と共に、頭の上に何かが振り下ろされた。
――ッ?!
すっかり心が無防備だった僕は一瞬反応が遅れて、それでも本能的にすぐさま後ろに飛び退くと、背中の刀を引き抜いた。
キンッ……!!
金属と金属の触れ合う音。
僕は首の前ギリギリのところで相手の剣を受け止めた。
「動きが鈍ったんじゃないか?」
注がれた相手の声に僕はスッと目をあげた。
その視界に面をつけた男の姿が映って、僕は根の仲間が来たんだと理解する。
「……鈍ってなんか、いませんよ」
相手の言葉をねじ伏せるように刀を握る手に力を入れ、僕は相手の剣を押し返すと、ようやく男が剣を引いた。
剣を鞘におさめ、静かに告げる。
「任務だ。七日後に発つ」
僕も背中の鞘に刀をおさめ、頷いた。
「わかりました」
無表情に答える僕を男は面越しに見据えて、再び確認するように口を開いた。
「忘れたわけではあるまい。俺達には任務遂行、それが全てだ。余計なモノに気を取られるなよ?」
余計なモノ――。
その言葉が僕の頭に異様に響く。
僕はその響きを振り払うと、
「ええ、もちろん。わかってますよ」
作り笑いで仲間の面に向かって答えてみせた。
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