アル・ワールド
episode.02 (ページ4/4)

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僕が静かにうなずくと、名無子が僕の顔を覗き込んだ。

「サイも一緒に行かない?」
「僕?」
「うん」

今度は名無子がうなずいた。

ガーデニング市。
今度の週末。
そんなのに興味はない。
でも確かに僕には予定もありはしない。

「いいよ」

自然と僕の口からはそんな返事が漏れだしていて、僕のその一言を聞いた名無子はひどく嬉しそうな声を出した。

「ホント? じゃぁ小指出して?」
「小指? どうして?」

そう言いながら僕が左手の小指をかかげると、その指に名無子が自分の小指を絡ませた。

「ハイ、指切り」

クイックイッと僕の小指を引っ張ると、名無子は自分の小指をふわりとはずした。

指切り……。

僕はその行為ごと名無子をじっと見つめた。

そんなこと僕とする人なんて誰もいないのに。
名無子はやっぱり変わってる。
誰も相手にしない僕の存在をキミはキミって存在にしっかり繋ぎとめてみせる。
そんな名無子はやっぱり変わってて。
なぜか僕をあたためる。





to be continued.
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