アル・ワールド
episode.02 (ページ3/4)

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僕は誰かと何かを分けあうことなんてない。
分けあう人なんていない。
なのにキミは、僕と半分に分けあってくれるんだ。
そうやって、いつもキミは僕の存在を認めてくる。

置かれたリンゴにフォークを刺して、僕は一口かじった。
目の前でおいしそうにリンゴを頬ばる名無子から何気なく転じた視線の先には、テーブルの上に飾られた一輪の花が映る。
キミの好きなキイロいガーベラだ。
たんぽぽほど無邪気すぎることがなく、ひまわりほど元気すぎることもないキイロのガーベラは、ちょっと名無子に似てる。
そんなことを考えていたら、名無子が急に声をかけてきた。

「サイ、コレ見てるの?」
「え?」
「このチラシ」

名無子がガーベラのすぐ横に置いてあるフリーペーパーを手に取った。
広げて僕に見せる。

ガーデニング市。

チラシにはそう書かれてあった。

「ガーデニング市?」
「うん、そう。今度の週末に野原であるんだって。いろんな花や苗が売られるのよ。私も何か買ってこようかと思って」
「へぇー」



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