アル・ワールド
episode.02 (ページ2/4)

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テーブルを前に僕がイスに腰掛けると、名無子が紅茶とリンゴを運んでくる。
席に着いた名無子がリンゴの皮をむきはじめて、でもその手つきがあまりにもひどくて、僕は口を開いた。

「皮むき下手だね」
「やっぱり?」

相変わらず名無子が朗らかに笑った。
その笑顔に僕は少しだけ首をかしげる。

「下手って言われて怒らないの?」
「だって。サイは本当のこと言ってるだけだもの」

なんてことナイって顔でキミが答えた。

「でも、僕が下手って言うと、みんな怒るよ?」
「そう? でも私は心にもないお世辞を言われるより、サイみたいに本当のことを言ってくれるほうが好きよ」

名無子は僕をしっかり見て明るく笑うと、また眉間にしわを寄せてリンゴの皮むきを再開した。
先ほど同様たどたどしい手つきでリンゴの皮をむく名無子を、僕はテーブルにほおづえついて静かに見守った。

なんだろう。
名無子はすごく変わってる。
誰もが拒否する僕を、キミはまっすぐ肯定してくる。

人一倍時間をかけて名無子はリンゴの皮をむき終えると、それを丁寧に八等分して僕と自分に四切れずつ平等にお皿に分けた。

「はい、どーぞ。半分コね」

名無子が僕の前にリンゴを置く。
半分コ。
そう、いっつも名無子はいろんなモノを僕と二人で半分コする。
今日のリンゴのようにフルーツとか、他にもチョコレートやクッキー、ケーキにお団子。
何でも僕と自分で半分に分けあう。



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