アル・ワールド
episode.02 (ページ1/4)

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名無子と知り合ったのは図書館だ。
図書館に本を借りに行くと、よく彼女に出会う。
そのせいで、どちらともなく挨拶を交わすようになり、そのうち話すようにまでなった。
そんなある日、夕立の中を傘もささずに帰り始めた僕を名無子が追いかけてきたんだ。
雨に濡れた僕に黄色の傘をさしだして、彼女は僕を図書館にほど近い彼女の家で雨やどりさせてくれた。
その日から、僕は彼女の家に行くようになった。
はじめのうちは名無子に誘われて何となく行く程度だった。
でも、なんでだろう、今はもうその回数がずいぶん増えてしまってる。





今日も家で一人、キャンバスに向かっていた僕は描くモノも思いつかなくて部屋を出た。
他のどこでもなく、名無子のところに足がむく。
別に何の用もない。
それなのに僕は名無子をたずねて、そんな僕を名無子は嫌がりもせず迎える。
玄関の扉を開けて、僕の姿を見た名無子は、

「ちょうど良かった。これからお茶にするところなの」

そう言って、いつものようにすごく自然な態度で僕を部屋にあげてくれた。



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