昼の月
episode.02 (ページ1/4)

 bookmark?


今日からツーマンセルを組むことになった名無子に、

『アナタ、強い?』

無表情にそう言われ、サイは根という組織の根本原理を思い出していた。
ずっとナルト達と一緒に動いていたからこの感覚を忘れていた。
根で大切なのは仲間を大事に思う気持ちじゃない。
強いかどうか、任務が遂行できるかどうかという結果だけだ。
任務が完遂できなければどれだけ仲間思いでもその忍に価値は無い。
任務を完遂させるためなら仲間を、いや、根では仲間という概念自体が意味を持たないだろう、つまりは行動を共にする忍を任務達成のために犠牲にしてもそれは構わないというわけだ。
感情なんて必要ない。
すべての忍はみな、根という組織に任務成功と言う功利だけをもたらし、死ねば次から次へと別の忍にとって代わられる歯車の一部であればいい。

ちょっとマズイな……。

暗部養成機関である根と自分の温度差を目の当たりにしたサイは危機感めいたものを感じて心の中で呟いた。
今からあたるのはまぎれもなく根の任務だ。
そうである以上、この温度差は自分の首を絞めることになるだろう。
それはわかっているものの、でも、だからと言って以前の自分のように何を思うこともなく任務にあたる機械仕掛けの兵士として根独特の温度にまで下がるつもりも毛頭ない。
サイは自分の前で太陽の光にキラつく水面を背に立つ名無子を真っ直ぐに見つめた。

僕は大事にしようと思ったから。
ナルトやサクラがサスケを思うように、これからは僕も仲間とのつながりを持ちたい。
そして、それを、大切に守っていきたいんだ――。





(ページ1/4)
-6-
|
 back
select page/92

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -