昼の月
episode.15 (ページ1/3)

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燃え盛る村の火を背に男たちが一斉に飛びかかってきた。
その様を高みの見物とばかりに腕を組み中央で見守るのは連中の頭であり、サイたちへの攻撃を指示した張本人、そしてビンゴブックに載る今回のターゲットその人だった。

山賊がビンゴブックに載るわけないか……。

サイは予想以上に強い下っ端連の攻撃を受け流し、親玉キリへと軽く視線を走らせた。
出くわした当初は山賊崩れの一行かとも思ったが、そのトップは自分たちが狙う用人、そんな男の部下が弱いと考えるのは甘いというもので、サイに襲いかかる男四人はかなり手強かった。
大きな刃を持つナイフを振り上げた男をわき腹から蹴り込み、その後手より飛び込んできた男の刀を自分の刀身で弾き返す。
キンッと耳障りな音が生じた瞬間、今度は背後から別の男が抜刀し、その刃をサイの背に突き立てようと迫りくる。
サイは足元の土を蹴りあげて飛び上がり、後方へと宙を回転した。
ひらりと降り立った着地点は今しがた自分の背中を取っていた男の後ろで、そこからサイは柄を両手で握りしめ、今度は自分が男の背部に刀を突きだした。
手ごたえあり、と手に伝わる肉を貫く刀の感触を認めるとサイは素早く刀身を引き抜いて、次の攻撃に備える。
だが、目の前でどさりと倒れ込む男の体、その向こう側に見えた光景にサイは瞳孔を広げた。

名無子――。



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