昼の月
episode.14 (ページ1/4)

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戻ってきた墨の獣たちの情報を元にサイがビンゴブックを開き、発見したターゲットを名無子に見せると、その瞳が一瞬曇った気がした。

「どうかした?」
「いいえ、なんでもないわ」

返された答えはいつも通り根の忍として普通の温かみに欠けるものだ。

「さっそく向かいましょ」

出発を促す名無子にうかがうような視線を投げたあと、サイは静かに頷いた。





駆けていく二人の前方の空が妙に赤く染まっていた。
林の中の小道をまっすぐ道なりに進みながら口を開いたのは珍しくも名無子のほうだった。

「あの空……ちょっとおかしいわ」
「天候のせい、って感じじゃないね」

横で頷き、サイも自分たちが向かう先に広がる空の赤さに目を凝らす。
夕焼けにしては赤過ぎる、しかも夕焼けならば西の空を中心とするはずなのにこの道が続く方向は北だ。
サイの頭に嫌な仮定が浮かび上がる。

天候のせいじゃなければ、人為的な理由……。
もしかすると……。

二人が追いかける用人がなにか仕出かしたのかもしれない。

「とりあえず先を急ごう」
「えぇ、わかってる」

何が起きているのであれ、現場の状況を把握しないことにはどんな手も打てない。
サイと名無子の足が速度を増して進んでいった。





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