昼の月
episode.12 (ページ1/3)

 bookmark?


ビンゴブックに載っている人物を発見し、二人はその男のすぐ近くまで来ていた。
男は山奥のみすぼらしい小さな荒ら屋をアジトにしているらしく、今もその中にいるはずだ。
サイと名無子は小屋のすぐ裏手に繁茂する草木の中に身を潜め、探索に使った墨のネズミを巻物に査収していた。
ターゲットのアジトは、家屋だけではなく周りに広がる雑多の植物も荒れ放題で隠れるには申し分がない。
見つかる可能性の低いその状況にサイも落ち着いた手つきですべての墨獣を飲みこんだ巻物を丸め、忍ポーチへとしまった。
と、そのとき――。
ブンッと何か重たい物質がものすごい速さでサイの背後から打ちおろされた。

――ッ。

サイがすかさず地面を横へと転がった。
転がりながらクナイに手を伸ばし、自分がついさっきまでいた場所を鋭い視線で確認する。
そこには屈強な男の姿。
どでかい斧を握る男の顔がビンゴブックに載っている標的人物のそれと一致する。

小屋の中にいると思ってたのに。

そんな二人の予測を裏切り、男は敏感に自分たちの気配を察知してうまく背後に回り込んでいたようだ。
しかし、今更それに気付いたところで状況は何も変わりはしない、サイはタッと着地した地点から低姿勢のまま男にクナイを投げつけた。
ザクッとクナイの命中する明らかな音が響き、それと同時に男の巨体がまっ白な煙へと変化した。

影分身の術――。



(ページ1/3)
-50-
|
 back
select page/92

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -